ウフィツィ美術館自画像コレクション展を中之島に来た国立国際美術館に見た。レンブラントのそれは美しい。自己を表現するとは安易な描写を許さないと云うことを思い知らされた。安易な描写とそうでない描写が自己の内で峻別されている。誇らしげな自画像も、気弱な自画像もいずれにせよ描かれる必要の無いものだ。表現に禁欲的である為にはそれに対応した内的生活が日常に必要である。ここで云う「禁欲」とは因襲的通俗的なそれでは無い。レンブラントの自画像には余分な色彩も形象も無い。そこには老いたその年齢の自己と向き合うレンブラント自身が存在するばかりだ。顔の皺、髭、陰影に筆の目が残る。筆致の素早さが伝わる。他人の顔を描く場合。老生が路上で十分ほどの時間で似顔絵を描く場合であっても他者との有言無言の対話を繰り返しながら表現を峻別する。安易な描写を避ける努力をする。不要な線も、過剰な色彩も無い。美術館の受付近くに似顔絵屋が二人いた。自画像コレクションと似顔絵屋と云う取り合わせから思った事。
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